ガーゼケットを作る理由

アリサラ舎ガーゼケットに至るまで

 やわらかさは人の心にやさしく響くと信じています。ガーゼケットなら長い時間やわらかさに包まれることができると思いました。

 2006年当時。まだガーゼケットがあまり売られてなかった頃、生地屋さんで購入したガーゼから手作りするようになります。

 そのうち自分が求めるやわらかさのガーゼを求めて、織物工場を探していると兵庫の工場の社長さんが引き受けてくれました。オリジナルで生地作りから関わることができるようになったのです。(社長から教えてもらった生地に関する色んなことはわたしの糧となりました)

 それから10年くらい経った頃、兵庫の工場は廃業されて振り出しに戻ってしまい、またゼロから工場探しの日々です。十年の経験はアリサラ舎ガーゼを使ってくれている方々の思いも色濃くなっていき、もう自分だけのガーゼではなくなってる感じがしました。自分がたいせつに思ってるやわらかガーゼは購入して使いつづけてくれているあの方にとっても大事な布になっているんだな、と。

 そんなわたしの思いを聞いてくださった方がまた次の方に、そしてまたその次の方につなげてくれて、最後にたどりついたのが岡山の工場の方でした。2023年現在もアリサラ舎ガーゼを織ってくれています。

圧倒的なやわらかさを支えるもの

 やわらかすぎるほどの圧倒的なやわらかガーゼを縫うために必要なミシンは必要最低限の設定以外に、ミシン屋さんの協力のもといろいろと細工や仕掛けを施してふつうなら縫えない生地を扱えるようにしてもらいました。

 自分自身もそれに対処できるように縫製技術をさらに高めて、柔らかいガーゼ生地でも美しい縫製はもちろんのこと、日用品ゆえ日々の洗濯でも丈夫な縫製を心掛けてガーゼケットを作っています。

 アリサラ舎ガーゼケットはわたしが作っているけれども、岡山の織物工場、ミシン屋さんの方たちに支えられて商品化に至っています。ガーゼケットを購入してくれた方、購入はしていないけれど興味がある方もない方も。そしてネット販売である以上宅配業者さんも。いろんな方がいるなかでアリサラ舎をやっている。ひとりでやっているけれども、ひとりじゃない。そんな心持ちです。

ガーゼケットをつくる理由

 ものづくりの仕事をしていて普段は実直にものと向き合っていますがその先には人がいます。ガーゼケットを通して人の心にやさしさを届けたいという自分のなかでの大切な思い。そしてものづくりを支えてくれる織物工場やミシン屋さんのために。この先もわたしはガーゼケットを作り続けていきたいです。

--
書き手:アリサラ舎
 滋賀県草津市でひとりひっそりガーゼケットを作っています。